Tips26 多少の不自由さで、冒険を演出しよう

 ゲーム世界を詳細に再現しようとするとルールが複雑になりやすいので、簡便性と再現性とのバランスをどこで取るかは、TRPG各システムの目指す方向により異なります。初心者を対象としたシステムでは簡便性を重視するでしょうし、経験者を対象として世界観をじっくりと作りこんだシステムでは、複雑なルールを用いてその世界に浸ることを楽しみとするでしょう。

 「HAVE  FUN!」では、すでに述べたような装備についてのルールや、戦闘ルールや魔法に関するルールなどを、出来るだけ簡単に考えて、まずはTRPGの本質である会話を楽しんでいただくことを目的としています。

 しかし、リプレイであるような「洞窟に入る場面やダンジョンでの探索では、明かりが必要である」ぐらいの不自由さはあってもいいと考えます。あまりに再現性による不自由さがないというのも味気ないです。

 そうすると、どこで簡便さと不自由さのバランスをとるかということになりますが、「物理的な法則は無視しないが、その管理・判定はできるだけ単純化する」というところになるでしょうか。

 つまり、先ほどの明かりを例にとると「暗いところでは明かりがないと物がよく見えない」という物理的な法則は無視しないが、「明かりがどの程度必要か、太陽の下とランプなどの明かりの下では、どの程度見え方が違うか」などについては、簡便に判断を行うということです。

 日常の物理法則を無視しだすと、逆に「どのような物理法則がその場面を支配しているか」の説明が必要になり、簡便でなくなります。「我々の世界の常識的な物理法則が、ゲーム世界にも適用される」とすると、それ以上の説明が不要になるので、各PLが理解を共有することが簡単にできます。