今回ご紹介する御本は、ファンタジー関連の御本ではありません。しかし、ファンタジーRPGが舞台とする中世・古代ヨーロッパが、どのような文化・歴史を持っていたかを感じることができる、素晴らしい御本です。
「ローマ人の物語」(全43巻)(著 塩野七生:新潮文庫)
有名な御本ですので、「聞いたことがある」、「名前だけ知っている」という方も多いかも知れません。
この御本は古代ローマ帝国の衰亡をテーマとしたものですが、教科書的な歴史解説本ではありません。膨大な一次資料を基にして書かれたものですが、歴史上の出来事に著者が是非を説明・解説するものでもありません。
この御本では、ローマ帝国の歴史に登場する様々な人物たちにそっと寄り添い、その生き様を物語っていくというスタイルがとられています。そのため、読者は、登場する各時代にあたかも自分が存在するような、同時代性を感じることができます。
ローマ人と共に国を興し、ローマ人と共に滅びる。
読み終わったときには、ローマ帝国に対して、第2の故郷とでもいうような、親密な気持ちを抱くことでしょう。
また、世界史に大きな影響を与えたローマ帝国を取り上げたわけですから、世界史の授業などで出てきた「ハンニバル」、「カルタゴ」、「フン族の大移動」などの、人物、出来事がどんどんと登場してきます。単行本で全15巻、文庫本で全43巻と長いシリーズですが、全く途中でダレることはありません。
唯一の難点は、長いシリーズのため図書館などで借りて読もうとすると、先約者がいるなどでなかなか前に進めないことです。筆者は、アマゾンさんで文庫本のセットを大人買いしました。(中古本ですが) 買ってしまえばこっちのものです。冊数が多いというのも、長く楽しめるという利点になります。それなりの金額にはなりますが、ファンタジーがお好きな方であれば、購入しても決して後悔はされないものと思います。
是非ご一読ください。