■新米冒険者初仕事GET
GM :では、いよいよ始めようか。まず簡単に世界を説明します。ファンタジー世界です。(Tips10)
チョイス:そりゃ、このキャラクターの職業見ればわかるよ(笑)
GM :そうだね(笑) 今回はとにかくTRPGをやってみようということなので、難しい設定は無しです。一応、みんながイメージするような剣と魔法の世界ということで。まだ電気や蒸気機関が発明されていない、中世ヨーロッパ的な感じで思ってくれたらいいと思います。あんまりみんなの行動が世界とかけ離れた方に行ったら、「あ、それは行き過ぎ」っていうので、自由に考えて行動してもらったらいいです。(Tips11)
ル・マン:わかった。ほんとにコンピューターゲームのRPGみたいなイメージだな。
マリー :でも、勝手に民家に入ってタンスやツボを漁ったら駄目だよ。
ル・マン:それをやりそうなのは、チョイスだよ。
チョイス:いやいや、おれは正義の剣士だから!
マリー :わかったから、進めましょ。(笑)
GM :いいね、マリーありがとう。(Tips12) この世界では、冒険者も職業の一つとされています。もちろん勝手に始めることもできるけど、君たちは冒険者養成所的なところで、職業上のルールや野外でのサバイバルスキルなどを学んだ同期です。養成所を出て、同期でパーティーを組んでこれからいろいろと冒険を重ねていこう、という新米冒険者です。
皆が今いる場所は、この地方ではかなり大きな港町です。シクレタって言います。昔はよく嵐に襲われた小さな漁村に過ぎなかったんだけど、ある時に、どこからかやってきた旅の僧侶が土地神に祈りを捧げて祠を建てると嵐がなくなり、その後は海上交通の要所、天然の良港として大きく発展するようになったという言い伝えがあります。
ル・マン:弘法大師的な言い伝え・・・。
GM :世界的に同じような言い伝えや寓話が残っているっていうのはよくあるよね、ヤマタノオロチとかもそうだし。まぁそれはそれとして。この地方の中心都市の一つであるシクレタにはいろんな人や情報が集まってきます。
で、皆は今、街の中でも冒険者たちのたまり場になっている酒場にいます。酒場といっても、食堂兼酒場という感じですね。酒場の主人には仕事の依頼もたくさん来ていて、それを冒険者たちに割り振っている。で、それを目当てにまた冒険者が集まるから・・・
ル・マン:また、仕事も集まる。鶏が先か卵が先か。なるほど、僕たちも主人から仕事を斡旋してもらいに集まっているんだな。
チョイス:酒場か。マスター、一人で飲んでいる美女とかいない?
GM :なになに、主人に頼んでお酒を回して「あちらの方からです」ってやりたいの?(面白いけど、そっちに話が流れると、シナリオに入れなくなりそうだな) 残念だけど、それらしい美女はいないね。それにまだ、お昼前だよ。(笑)(Tips13)
実は、ここ2、3日間は「これが昔話に出てくる嵐か」っていうような大嵐で大変だったんだけど、ようやく今朝になって落ち着いたところです。久しぶりに早朝の漁に出ることができたんで、酒場がある街の中央市場はかなりにぎわっています。
酒場、まあこの時間帯は食堂なのかな、の店内も、一仕事終えた漁師や仕事探してますって感じの冒険者でガヤガヤしてます。中にはこの時間からスッカリ出来上がっている奴もいたりするけどね。酒場の一角で盛り上がっている漁師数人のグループなんかは、冒険者らしくない美貌を持ったマリーに、視線がくぎ付けになったりしてます。(笑)(Tips14)
マリー :あら。(笑)
GM :チョイスが、そんなザワザワした店内を見まわしていると、一人の真面目そうな男がこちらに近づいて来ます。きっちりとした衣服を身に着けていて、一言でいえば、役所の事務の人って感じで、漁師や冒険者が集まっているこの場所からは浮いている印象も受けるかな。
チョイス:いいな、俺も飲みたいな。
マリー :ちょっと、チョイス、少しおとなしくしてなさい。マスター、その人がこちらに話がありそうなら、こちらから声をかけます。
GM :うん、確かに話がありそう。
マリー :えーと、失礼ですが、私たちに何かご用件がおありですか?
GM :マリーから声をかけられた男は、ちょっとびっくりしたようにして返事します。
「あ、これはご丁寧に。マリーさん、ル・マンさん、チョイスさんでしょうか。私は、このシクレタの協議会から派遣されたサーティスといいます。ここの主人からあなた方に仕事を頼めると聞きまして」
話が前後するけど、酒場の主人に仕事探しを依頼していた君たちは、確かに、街から仕事の依頼があるって聞いて集まっているから。
マリー :分かりました、マスター。えーと。私たちがその3人です。確かに、こちらの御主人から、街から仕事の依頼があると聞いています。
ル・マン:マスター、協議会ってなに? そのサーティスさんってほんとにその協議会の人なのかな。
GM :この街は、王様がいるのではなくて、協議会の人が合議制で自治を行っています。今の市議会みたいなもんかなぁ。専業の人もいれば、それぞれの職業組合の偉いさんが兼業している人もいます。で、サーティスさんはちゃんと身分証も見せてくれるし、身元の点は信用できます。確かに協議会の事務方の人のようですね。
君たちも「冒険者として職業組合に登録してありますよ、怪しいものじゃないですよ」っていう身分証を持っているんだけど、見せる、よね?
ル・マン:もちろん。
チョイス:よしよし、これで、お互い腹を割って仕事の話ができるってもんだな。ただ、マスターここは酒場なんだよな・・・。
GM :「あ、申し遅れました」とサーティスさん。「あちらに個室をとってありますので、お仕事の話は食事でもしながらどうでしょう。もちろん、お勘定はこちらでお支払いしますので」
チョイス:よし来た!(笑) 昼飯だけど、飲むぞ!(笑)
ル・マン:チョイスって騙されやすそうだよなぁ(笑)
チョイス:うまい飯とうまい酒に罪はない!
ル・マン:ただより高いものはないともいうけど。とはいえ、信用できそうな相手だし、この流れには素直に乗ろう。
GM :マリーもそれでいい?(Tips15)
マリー :わたしも問題ないでーす。
GM :皆が個室に入ろうとすると、さっきの出来上がってる漁師の一人が絡んできます。「おうおう、エラクきれいなお姉ちゃんを連れてるじゃねぇか。お前らには勿体ねぇぜ、全く。お姉ちゃん、俺たちと飲もうぜ!」
チョイス:来た、お約束! でも、待ってました!!
マリー :すみません、わたしはお仕事がありますので・・・(ちょっといい気分)
GM :「冷たいこと言うなよー」とかいって、その男はマリーの手を握ろうとする。
マリー :レディーの手を握ろうなんてなにするの! チョイス!
チョイス:任せろ。マスター、その漁師の手を剣で切り落とす!(Tips16)
GM :それはやりすぎだよ。現実にそんなことやったら完全に犯罪でしょ? いくら剣と魔法の世界でも、日常の場面で剣と魔法を使うことはまずないよ。我々の世界でも、銃やナイフはあっても、日常の場面でそれを使用したら大問題でしょ。
チョイス:確かにそれはそうだな。では、その男に「うちの連れに手を出すんじゃねぇ」と言って、酒場の外に連れ出すよ。
ル・マン:マスター、サーティスさんは?
GM :サーティスさん? あれ、いつの間にか、集まってきた野次馬に紛れてしまっている。助ける気はないみたい。
ル・マン:うーん・・・。
GM :酔っぱらってる漁師は、チョイスに酒場の外に連れ出されて腹を立てているみたい。「なんでぇなんでぇ、邪魔しやがって。女の前だからってカッコつけやがって」といって、拳を構えて身構える。漁で鍛えられたと見えて立派な筋肉だ。
チョイス:筋肉では負けないさ、拳での勝負、やってやるぜ。マスターどうすればいいの?
GM :集まってきた野次馬の中央で、二人が拳を交えるって構図だね。戦闘と同じように処理させてもらおう。まず、どちらが先に行動できるかを決めます。6面ダイスを1個振って、素早さの修正値でプラスマイナスして、多い目が出た方が先制攻撃です。男の方はこちらが振るね。せーのーで、コロコロ。。。。。。
チョイス:4! あ、だけど、素早さ-2だから2か。
GM :こっちは3! こちらが先攻だね。
チョイス:くぅー。筋肉が重いのか・・・・。
GM :攻撃は6面ダイスを3個振って、相手の防御力を上回れば命中です。へへへ、行くぜ、うりゃ!(6面ダイス3個コロコロ。。。。) 12!(Tips17) チョイスの防御力は?
チョイス:俺の防御力は14だ!
GM :盾は使ってないんでしょ。じゃ13。でも、相手の防御力を上回っていないので、漁師のパンチはチョイスに軽く受け流される。
チョイス:今度はこっちの番だ。行け!コロコロ。。。。。8! どうだ!?
GM :ふふん? 毎日の漁で鍛えた体はダテじゃないぜ? チョイスのパンチは当たったけど効いていないようだ。次のターン! 先制権を決めよう。せーのーで。。。。
チョイス:2! あーだめだ!
GM :5! 漁師が先攻!
マリー :なにやってるの、チョイス!
ル・マン:(なんか、楽しそうだな・・・)
GM :兄ちゃんなかなかやるじゃねぇか・・・・おりゃ。。。。6、あれ、酒が回ってきたか。
チョイス:ふふふ、行け! 。。。14! どうだ!
GM :(ここでラッキーナンバーを出すか!)おお、命中! しかもラッキーナンバーだな。チョイスのパンチは漁師の顔面に命中した。しかも、ちょうど、男が空振りして足元がふらついていたところに、カウンターでパンチが入ったんで、男は一回転して、道の反対まで吹っ飛んでいった。グワン!って道の反対側の宿屋の壁にぶち当たり、ふらふらと立ち上がろうとした瞬間・・・。
チョイス:瞬間?
GM :宿屋の看板が落ちてきて漁師の頭にぶち当たった。漁師は気絶です。(笑)(Tips18)
チョイス:うしゃぁあ!!(笑) 勝ったぜ!!
マリー :よし、チョイスよくやりました!
ル・マン:(なんか姉御っぽくなってきたな)すごいな、チョイス!
GM :野次馬が「兄ちゃんやるなぁ」とか何とか言いながら解散しだす。チョイスに負けた漁師も仲間が笑いながら引きずっていきます。「イヤー兄ちゃんこいつが世話かけたなぁ。でも大したパンチだぜ、まぁ今回は借りにしといてくれや」とか話しかけてくるから、チョイスのクリーンヒットに毒気を抜かれたようです。(Tips19)
チョイス:あいつのパンチも効いたぜ・・と言いたいけど、もらってないな。(笑) おう、今回は貸しにしといてやるよ! マスター、サーティスは?
GM :うん、丸く収まりそうだね。騒ぎが収まってくると、見物人の中からサーティスさんが出てくる。「いやいや、災難でしたね。ですが、さすがに主人が紹介するだけあって、腕の立つ方たちだ」とか言ってるけど。
ル・マン:とか何とか言ってるけど、チョイスが負けてたら、そのまま消えようとしてたような気がする・・・。でも、それは態度には出さないけどね。ありがとうございますってニコニコしておくよ。
GM :(こいつもいい性格してるな・・・(笑)) 個室に入ると、サーティスさんが店の人にたくさんの料理を注文する。で、明らかに食べきれないぐらいの料理と飲み物が並ぶので、なんか酒盛りみたいになってきます。
チョイス:よしよし!
マリー :えーと、サーティスさん、お仕事のお話は・・・。
GM :「まぁまぁ、そんなに、お急ぎにならなくても。ゆっくり食事を楽しんでからでも遅くないですよ」とサーティスさん。
ル・マン:ほらな、なんか流れがおかしい。
チョイス:そうか? 俺も仕事の話は食べて飲んでからでいいと思うが?
GM :では、それぞれ、6面ダイス3個を振って、知力より低い値が出るかチェックしてください。(Tips20)
チョイス:え、。。。10、だめだ。
ル・マン:僕も10だけどチェックOK。
チョイス:頭いい奴はいいな(笑)
マリー :あ、わたしも10だ。チェックOKです。
チョイス:チェッ(笑)
GM :チェックOKの人はわかっちゃいます。「あ、この人仕事する気がないんだな」って(笑)
ル・マン:うわっ。(笑) 依頼人が仕事する気がないって?
マリー :えー、お役人なんでしょう? ひょっとして、依頼の話を理由にしてお昼からご馳走食べて経費で落そうってこと? なんか急に小役人臭く見えてきたんですけど・・・。
チョイス:なに? それは許せんな。
GM :いやいや、チェックに失敗したチョイスはそんなことには気づいていないよ。
チョイス:そうか。いや、仕事の前に豪華な腹ごしらえができてうれしいなっと(笑)
■神官家の娘ジュリア登場
GM :のんびりご馳走を楽しむサーティスとチョイス、それをイライラとみているル・マンとマリー。
そんな感じで時間がゆるーく流れていると、また、小部屋の外がガヤガヤとやかましくなる。次の瞬間、小部屋のドアが乱暴に開けられて、人が飛び込んできます。入ってきたのは小柄な女の子とそれを追いかけてきた長身の青年です。
女の子の方が「いつまで待たせるのだ!」とサーティスさんを怒鳴りつけ、青年が「お嬢様おやめください」って困った顔をしています。
マリー :マスター!
GM :はい?
マリー :その女の子、きれい?
GM :(そこ?) えーと、入ってきた女の子は、ローティーンの少女で、大きな杖をもった恰好からすると神官か僧侶みたい。
マリー :で?
GM :(なんかこだわるな?)あ、可愛いです。今は手に持っている神官の杖が不釣り合いに大きい少女ですが、大人になったらさぞかしっていうぐらいの可愛さです。だけど、きれいっていうより可愛いですね。で、後ろで困ったようにしている細身の青年は君たちと同年代の10代後半ぐらいで、彼女の従者のような感じがします。
マリー :そう・・・。可愛い系なのね。じゃあいいわ。
GM :(可愛い系だったらいいのかな?)それで、しばらくサーティスさんとその女の子の間で、さっさと仕事をするのだとかそれなりの準備が必要ですとか言い争いみたいになるんだけど、サーティスさんが女の子の怒りの矛先をみんなの方に向けて言い逃れしようとしているのを、ル・マンとマリーは気付くよ。
ル・マン:こいつはほんとに小役人だな・・・。マスターそこらへんはうまく事情を説明して女の子と青年の話を聞きたいんだけど。
GM :了解。全員がチェックに失敗してたらまた別の話になってかもだけどね。
チョイス:おれは、その間も食って飲んでます。(笑)
GM :話を整理すると、女の子の名前はジュリアで、この街の祭祀をつかさどる神官家のお嬢さんです。それと青年はルキウスという名前で、彼女の従者を務めています。
それで、実は、皆が紹介を受けた仕事というのは、彼女達の護衛です。さっきも言った通り、この街は2、3日前からすごい大嵐になってたんだけど、神官家のジュリア的には「これは何かおかしいのだ」ということらしいのです。
そこで、昔、高僧が嵐を鎮めた伝説にある祠の様子を見にいきたいと、協議会に上申した訳です。一応、祠も街の管理下、つまり協議会の管理下にあるので、神官といえども祭祀の時とか決められたとき以外には、立ち入れないことになっているんですね。
ル・マン:あの、弘法大使の祠か。
GM :その祠は、海岸から少し離れた小島にあるので、嵐の間はとても船を出すことができずに、ジュリアはじりじりと待機していたんですね。協議会からは、天候が回復したら、街がつける護衛と一緒に調査に出てもよいと聞いていたのに、いつまでたっても護衛になる人が来ないから、痺れを切らせてジュリアの方から出向いたという訳です。
マリー :それで出向いたら、護衛役がゆっくりとお食事中だったというわけね。
GM :サーティスさんはルキウスの話を聞きながら、ワインをぐっとあおって「まぁ、そんなに騒ぎ立てるようなことではないと思いますけどねぇ」と独り言。
チョイス:ほんとほんと。もぐもぐ。
ル・マン:まだ食べてるのか。
GM :「なにを言っておるのだ。何も感じぬのか? これまでとは明らかに潮の香が異なるというのに!」とジュリアさんは憤ってますが。
チョイス:そうなの?もぐもぐ。
GM :ゲシッと、ジュリアに杖でどつかれます。(笑) すごい目で睨まれているよ。
マリー :もうやめなさい! じゃ、わたしたちの目的は、彼女たちを護衛して、その祠に異常があるかどうかを調査をするってことね。
GM :「そうなのだ。いらぬといったのに、どうしてもこやつが護衛をつけるというから待っておったのに」と言うジュリアに、サーティスさんが「まぁ何もないとは思いますが、神官家のジュリアさんに、もし何かあれば私の責任になりますので」と返す。
ル・マン:マスター、なんとなくこの仕事が僕たちに回ってきた理由がわかったような気がするんだけど、知力チェックしていい?
GM :いや、キャラクターとして気が付いたということで、チェック無しでいいよ。で、どういう理由?
ル・マン:一応護衛はつけないといけない。だけど・・・。
ル・マン、GM :できるだけ安く上げたい。
チョイス、マリー :うわー!
ル・マン:だから、レベル1の僕たちかー!
GM :まぁでも、駆け出しの仕事ってそういうもんだよ。その代わり、というか、それほど危険な仕事ではない、と考えられているわけでもある。
チョイス:くそ、新米冒険者なめんな! 完璧に任務を果たしてサーティスを見返してやる! よし、調査に出かけるぞ!!
ル・マン、マリー :うん、行こう!
■パーティー、調査へ旅立つ
GM :酒場を出たのは、君たちとジュリアとルキウス。サーティスさんは「もう少しやることがありますから」と言って残ってます。
ル・マン:「やる」というのはどうせこれだろう?(といって、グラスをあおるしぐさをする)
GM :さてね。で、君たちは店を出てから、ルキウスの案内で街外れの海岸地区の方へ移動する。移動途中は省略するけど、一日歩いて、夜は野営して、次の日の昼前に目的地に着くって感じ。
チョイス:うわ、遠いな。でも、そこも街の中なのか。
GM :いや、街の中心部は城壁で囲まれているんだけど、そこを出てしばらく歩くから、もう街の中ではないな。厳密にすべての時間を追っていくと際限ないから、あまりイベントがないところは、モノローグ処理で行きます。(笑)
マリー :移動とか野営とか、わたし達レベル1だけど大丈夫なのかしら。
GM :うん、何しろファンタジー世界だから、一般人の移動は基本徒歩です。冒険者になる修行の中で野営とかの経験も十分積んでのレベル1、という風に理解してくれる?
ル・マン:わかった。テーブルトークRPGって、細かいことを気にしだすとほんとに切りがないな。では、話に戻って、その調査はどういう段取りなのかな。
GM :ありがとう、ル・マン。皆は、ちょうど海岸にいます。目の前には海が広がっていて、少し先に小島が一つ見えます。少し先といっても小舟で行ける程度だね。それで、海岸には、漁師が海から引き上げている小舟が、ぽつりぽつりと置かれています。また、漁具が納められている倉庫もいくつか見られます。天候は穏やかで、船を出すには問題は無さそうです。
チョイス:置いてあるどれかの船に乗ればいいのかな?
GM :コンピューターRPGだったら乗り込めば即動かせるだろうけど、テーブルトークでは、さっきの移動のようにお約束として省略すること以外は、ちゃんと会話と行動で解決しないとだよ。
マリー :そういえば、船を動かすスキルはあるのかしら?
GM :君たちは、馬には乗ったことはあるけど、船を動かすスキルはないです。エンジンなんかないから、小さな帆とオールで船を動かさないといけないので、スキルがないと結構厳しいね。
だけど、従者のルキウスが地元の漁師に話をつけてあるので、その点はご心配なく。小島に祠があるから、祭祀があったり神官家の用事があるときに「渡し」をお願いしている、なじみの漁師がいるらしいです。
今回も、海岸に1隻の小舟が用意されていて、漁師風の親父さんとその息子らしきガタイのいい男が待っています。「ジュリアお嬢さん、お待ちしておりやした」といっているから、顔見知りだね。ジュリアの方は、気になることがあるらしく、すぐに島に渡りたそうにしているけど、皆どうする?
マリー :大丈夫です。ねぇ、ル・マン?
ル・マン:そうだな、一通り必要になりそうな装備は用意してあると考えていいんだね、マスター。
GM :(けっこういいところに気が付くな)うん、大丈夫。一通りの装備や飲食物は準備済みです。
チョイス:よし、行こうぜ!
GM :では、皆、桟橋から小船に乗り込んで、祠がある小島に出発します。天候もいいし、小舟はベテランの漁師たちに操られて、問題なく海上を進んでいきます。もちろん、小舟だから揺れるのは揺れるけどね。(6面ダイスを3個、プレイヤーに見えないようにノートに隠してコロコロ。。。8)
チョイス:なになに? 船酔いチェックか?
GM :いや。船に乗っている間、ジュリアは心配そうな顔をしながら杖を握りしめています。知らず知らず「もしかしたら・・・」とか、「はやく・・・」とか小さくつぶやいてたりするけど、その中で「お姉さま・・・」という言葉があったのが、隣にいたル・マンの耳に引っかかりました。
チョイス:お姉さま? どうした、お姉さまって?
GM :いや、チョイスには全然聞こえてないよ。何かを心配しているのか、ジュリアの口から独り言がこぼれたのを、ル・マンが耳にしただけです。
ル・マン:ふーん、まぁ、独り言なら聞かなかったことにして、覚えときます。
GM :小舟で海上をしばらく進むと、小島がだんだん大きくなってきます。シクレタの街から海岸までの移動やこの船に乗っている間に、ジュリアたちと君たちの関係も、かなりほぐれてきます。特に、ジュリアはマリーにすごくなついている感じがします。ジュリアのしぐさから、綺麗なお姉さんなのだーって、なんだろう、憧れに似た感情みたいなのが見て取れます。
マリー :あら、そうなの。なんだか、うれしいな。
GM :だけど、第一印象が悪かったのか、ジュリアはチョイスにはなついていないです。(笑)
チョイス:おー上等だ。こっちも嫌いですー、ベーだ。
ル・マン:子供か!(笑)
GM :さて、小島ですが、ルキウスの説明によると島全体が聖域とされていて、だれも住んでいないそうです。
さして大きくない島の中央には、緑に覆われた山があるんだけど、その中腹にはおそらく祠であると思われる、石造りの建物が見えます。角度によっては木に隠れてしまうくらいの、あまり大きくない建物ですね。祠から下の方に向って木製の長い階段が作られているのが、木の枝の陰から確認出来ます。
やがて、小舟は問題なく桟橋に到着するんだけど、皆が小舟から降りたところで、ジュリアが「ああっ」と小さく悲鳴を上げます。
チョイス:どうした!
GM :と、いうところで、切りが良いので、今日はお開きです。どう、初めてのTRPGは? 良かったら、また今度集まって続きをやろうよ。
ル・マン:確かに、もうこんな時間だな。話しているうちに、結構、時間がたってたんだね。会話で話が進んでいくのもいいね。
チョイス:ああ、ダイスでのバトルも結構燃えるな。あと、この後の続きも気になるし、またやりたいな。
マリー :結局、わたし達はバトルなかったね。楽しかったけど、次は私もバトルしたいわ。(Tips21)
GM :ごめんね、なんかそういう流れになっちゃった。では、楽しんでいただけたみたいだし、また、続きをやろう。
チョイス:次も、俺が勝つ!(笑)