Tips16 PLの暴走行為への対応

 TRPGを始めたころは、PLも加減がわからずに暴走しがちです。「TRPGは何でもできる」という説明を拡大解釈してしまうのです。

 リプレイでは、街中での些細な口論なのに、チョイスが剣を抜いて丸腰の相手に切りかかろうとしています。

「何でもできる」ということは「何をしても許される」とイコールではありません。シナリオの世界には、その世界のルールや常識が存在します。あまりにそれを無視した極端な行動が宣言された場合には、GMは断固とした態度でPLに説明をしましょう。

 もっとも、核戦争後で無政府状態になった世界を舞台にしたTRPGや犯罪(クライム)集団を主人公としたTRPGなどでは、極端な行動もあながち問題ではないかもしれません。要は、選択肢は物理的に可能な限り広がっているが、キャラクター(PL)はその行動についてその世界のルールに基づいて結果を受けるということです。

 ところで、ワルノリしたPLが、GMの説明を聞き入れずに暴走することがあります。

 リプレイの場面だと、チョイス(PL)がGMの説明を聞き入れずに、「でも、すごく腹が立ったから、相手の腕を切り落とす! できるよね!!」と言い放つかもしれません。

 このような場合のGMの対処は、いくつか挙げられます。

 まずは、「いや、この世界の常識に反するから駄目だ」とはねつける方法です。ですが、TRPGは、キャラクターの行動はPLが自由に宣言できる(物理的に不可能なものは不可能ですが)のが売りですから、この方法は取りたくありません。

 どうしてもPLが宣言を変えない場合は、その行動を成立させ、臨機応変にキャラクターにその結果(大抵の場合、暴走の結果は大きな不利益)を与えるということになるでしょう。ただし、その「結果」はいろいろ工夫する余地はあります。

 例の場合は、「わかった、チョイスは酔っぱらった男の腕を切り落とそうと剣を振りかぶった。その時・・・(ノートの陰でサイコロを転がす)、カキン! どこからともなく男が割り込んできて、チョイスの剣を短剣で受け止める。「やれやれ、ゆっくりと酒を楽しんでいたというのに、無粋な・・・」チョイスの剣を受け止めたのは、先ほどまで全く目立っていなかった背の低い男だが、今は全身から冷たいオーラのようなものを感じる。どうやら盲目のようだ。」などと、当初全く予定のなかったキャラクターを出現させて、状況の収拾を図ることができます。

 場面が落ち着いたらこの男は退場させて、当初のシナリオを進める一方で、男はのちのシナリオへの伏線にできます。

 また、「うわぁ!! 酔っぱらった男はチョイスに腕を切り落とされ、その悲鳴は酒場中に響き渡った!! どうした、何があったなどと酒場中は大変な騒ぎになっているよ。」チョイス「やばっ、とりあえず逃げる!」 GM「ここが冒険者のたまり場で、周りには漁師の仲間たちがいることをお忘れなく。とても逃げられないよ。チョイスはたちまち複数の人間にのしかかられて捕まってしまう。現行犯で、しかも、街の評議会の職員であるサーティスさんの目の前で起きた事件だしね、即牢獄へぶち込まれます。」 チョイス「マジで・・・。」とすることもできます。ただ、この流れだと予定したシナリオには入れないかもしれませんね。

 いずれにしても、PLの暴走には、プレイの自由度を損ねないように注意をしながら、丁寧に説明をして変更する機会を与える。それでも、暴走を止めないようであれば、その世界のルールに従って結果を与える、ということになるでしょう。