Tips17 ダイスを振るテクニック

 GMには、戦闘や行動チェックなどで、ダイスを振る機会がたくさんあります。

 リプレイの場面では、戦闘に際してGMはPLに隠さずにダイスを振っていますが、ノートや衝立に隠して、PLに見えないようにダイスを振る方法もあります。「HAVE  FUN!」では、前者をオープンドトライ、後者をクローズドトライと呼びます。

 オープンドトライのメリットは、ダイス判定時に緊張感が高まることとダイス判定結果をPLが受け入れやすいということです。デメリットは、ランダムで出るダイスの出目に対してのGMの対応の難しさです。

 一方で、クローズドトライのメリットは、PLにはダイスの出目が見えていないので、GMが出目に振り回されなくてよいということです。例えば、戦闘をクローズドトライで行った場合は、シナリオの序盤にモンスターの攻撃がキャラクターに大ダメージを与えないように、数値を管理する(つまり、実際に振ったダイスの出目を無視してPLに戦闘結果を告げる)ことができます。デメリットは、ダイスの出目がPLには見えていないので、ダイス判定時の緊張感が低いことと、ダイス判定結果をPLが受け入れがたい時があるということです。

 どちらを採用するかはGMの裁量ですが、「HAVE  FUN!」では、特に戦闘に関してはオープンドトライをお勧めしています。理由は、上述のように戦闘時に緊張感・盛り上がりが得られるということと、キャラクターに攻撃が命中したりダメージが与えられたりした場合でもPLが受け入れやすいことです。逆に、クローズドトライで戦闘を行った場合、PLは「モンスターにダメージを与えられた」ととらえるのではなく「GMにダメージを与えられた」ととらえるときがあります。

 また、「偶然起きる出来事」や「キャラクターが関与し得ない出来事」に関しての判定は、クローズドトライが適しています。もともと、PLが関与し得ないことなので、目に見えないところで振られたダイスの結果でも受け入れやすいからです。

 これを利用して、戦闘をオープンドトライで行いダイスの出目が偏って困った場合は、クローズドトライを行い、回復アイテムや援軍を出現させたり敵を退散させたりして対応しましょう。

 この場合、ダイスの出目は関係ありません。クローズドトライは恰好だけ行います。何もトライをせずに「大きな音がして突然モンスターは逃げさった」と言うよりも、クローズドトライを行ってから「大きな音がして突然モンスターは逃げさった」と言った方が、PLの納得度は高いです。

 この「形だけのクローズドトライ」は、GMにとって非常に大切なテクニックです。