1-6 天井を落とせ! 調査を完遂せよ!

 おそらく最後の山場だろう。MOAGC(すべてのジャイアントクラブの母)らが潜む広場の入口でマリーが提案した作戦は、魔法で攻撃力を強化したルキウスのショートボウ、マリーのマジックアローを鍾乳石の天井に集中砲火し、落花物で敵が混乱する間に突破するという奇策であった。果たして、計算通りに事が運ぶのか?

■天井を落とせ! 強行突破!

マリー :まずは、ルキウスの出したショートボウに、攻撃力強化の魔法をかけます。

GM  :了解。ジュリアも覚悟を決めたような面持ちで、自分に防御力強化の魔法をかけるよ。ルキウスは強化されてほのかに輝いているショートボウで、あらかじめ打合せした場所を狙います。

チョイス:俺は剣を両手で構える。今回は俺がしんがりだ。

ル・マン:わかった。先頭は僕とルキウスで行くよ。

GM  :では、次のターンでいいかな。

マリー :あらかじめ打合せしておいた箇所を狙って、マジックアローを打ちます。ルキウスもお願い!

GM  :ルキウスも同時に同じ箇所に向って、矢を放つ! 標的が動かないものなので、マジックアローは問題なく命中します。ダメージ判定だけお願い。ルキウスの場合は命中判定が必要です。

チョイス:頼む、ここは当ててくれ!

GM  :こちらも、相手が動かないので、命中に若干のプラス修正はあるけど。。。14+1で15! ダメージが、おおっ、6+1で7!

マリー :お願い!。。。私のマジックアローのダメージが4です!

GM  :合わせて11だね。マリーの杖から放たれたエネルギーの矢と、ルキウスの魔法で強化された矢が、同時に天井の明かりが差し込んでいる部分に命中しました。バチン! と、大きな音がしたと思うと・・・・(ノートの陰で、6面ダイスを3個転がす。。。8)(Tips31)、たくさんの大きな岩石や鍾乳石のツララが、部屋の中央部分に落下してきます。その下にいたジャイアントクラブは、驚いたのか部屋の壁際や左側の二つの出口の方へ逃げていきます! 女王ジャイアントクラブは驚いて興奮しているけど、部屋から出て行く様子はありません。

ル・マン:今だ! マスター、全力で反対側の出口めがけて部屋を突っ切るよ! 先頭は僕とルキウス、しんがりはチョイスで、真ん中にマリーとジュリアを置いて、二人を守るようにして走る!

GM  :了解! 突然部屋に飛び込んできた君たちを見て、ジャイアントクラブはさらに混乱します。でも、動物の本能か、巣に飛び込んできた外敵に対して、すぐに攻撃してくるよ。

      ただ、君たちの作戦で、中央部のジャイアントクラブは散らされているので、君たちが反対側の出口に辿り着くまで3ターンかかるけど、最初の1ターンは攻撃を受けない。ただし、女王ジャイアントクラブだけは、興奮しながら1ターン目から攻撃してくるよ。

チョイス:それは俺が相手してやる!

GM  :立ち止まって戦う、チョイス?

チョイス:もちろ・・・

ル・マン:(チョイスのセリフを途中で遮る)だめだめ、防御して駆け抜けろ! 止まったらほかのジャイアントクラブに囲まれる。何のための作戦だよ。

チョイス:(悔しそうに)わかったよ! 女王ジャイアントクラブにみんなが攻撃されないように、しんがりで守りながら走る。

GM  :了解! では、1ターン目、女王ジャイアントクラブの攻撃15! 突然の侵入者に怒る女王の一撃だ! チョイスに1のダメージ。

チョイス:軽い!

GM  :ジュリアが最後の回復呪文をかけようかというそぶりを見せるけど・・・。

チョイス:いらん! 走れ!

GM  :了解、他のメンバーも身を守りながら走ります。2ターン目、比較的近くにいたジャイアントクラブが。。。6面ダイスを転がして「6」(あ、これは駄目だ、半分にしよう)3匹、走り抜けようとする君たちを攻撃してきます。先頭にいる二人に攻撃が行く確率が高いとして、6面ダイスを転がして1,2がル・マン、3,4がルキウス、5がマリー、6がジュリアということで。女王ジャイアントクラブが大きいので、チョイスのところにはほかのジャイアントクラブが攻撃に入る余地がないです。では、現われたジャイアントクラブAの攻撃は4でルキウスに。。。8、ぎりぎりセーフ! Bは6でジュリアに。。。6、本来ならジャイアントクラブのハサミはジュリアを傷つけていたところだけど、防御力強化の呪文が彼女を守った。

ル・マン:危ないなー、もう。

マリー :「ジュリア大丈夫?」って声をかけます。

GM  :「大丈夫でした、マリーさん!」とジュリア。自分でもびっくりしているようです。さて、最後のジャイアントクラブCは5で、そのマリーに攻撃。。。10、走るマリーの背中にジャイアントクラブの振り下ろしたはさみが命中して、ダメージが1。

マリー :・・・・・やってくれるじゃない。

GM  :(こ、こわっ)そして、後衛のチョイスに女王ジャイアントクラブの攻撃。。。10、これは当たらない。そしてみんなは、ジャイアントクラブの攻撃から身を守りながら2ターン目も走った。

ル・マン:あと、1ターン!

GM  :3ターン目、さらに、近くにいたジャイアントクラブが。。。6面ダイスを転がして「6」(なんだ、この出目は!)また3匹攻撃してきます。先ほどと同じように、ジャイアントクラブDが4でルキウスを攻撃。。。11、ハサミがルキウスの腰に命中、ダメージが3! あーあとHPが1しかない!!

一同 やっぱり・・・という表情。

マリー :ルキウス・・・

GM  :はい?

マリー :がんばっ(苦笑)

GM  :マリーさん・・・(泣) えーと、ジャイアントクラブEの攻撃ですが。。。5でマリーへ!

マリー :そう・・・。

GM  :(こ、こわつ)命中判定が。。。11で命中です。ダメージが3!

チョイス:(マリーのキャラクターシートをのぞき込んで)うわ、姉御もヤバいじゃないか。残りHP2!

マリー :大丈夫よ、このターンをしのげば、反対の出口にたどり着けるから。

GM  :その前に、最後のジャイアントクラブFの攻撃があるんですが・・・。誰に攻撃が行くか重大だな。。。6でジュリア!

チョイス:(一回も攻撃されていないル・マンに向って)おまえ、しっかりと守れよ!

ル・マン:僕にどうしろと!(苦笑) 代われるものなら代わりたいよ!

チョイス:マスター、そのジュリアへの攻撃、ル・マンが代わりに受けたいらしいけど?

GM  :一直線に反対側の出口を目指して走りながら、自分の回りに来たジャイアントクラブの攻撃を受けている状況なので代われません。祈ってください。では、命中判定。。。7。 考えてみれば、ジュリアにとっては、ジャイアントクラブは自分と同じぐらいの体高なのかもしれないね。そいつが振り回した大きなはさみが肩口に当たって、悲鳴をあげます。ダメージは2! そして最後の女王ジャイアントクラブの攻撃、チョイスに向かって。。。4、はずれ! そして。君たちは、とうとう反対側の出口からこの部屋を脱出することに成功しました、おめでとう!

■そういうことじゃないのよ・・・。けじめをつけるバトルへ!

ル・マン:ふううう! やった、助かった。マスター、周囲の状況を確認するよ。

GM  :出口付近は少し狭くなっているけど、洞窟に入ってしまうと2列で進むことは可能なくらいの広さはある。奥に続いているようだけど、奥までは部屋の明かりが差し込んでいないので、先の様子はわからない。さっきの部屋には、ジャイアントクラブの殻は散乱してなかったけど、この洞窟には足元にたくさんの殻が転がっている。そのためか、ジャイアントクラブたちはこの洞窟には入ってこようとはしない。ただ、女王ジャイアントクラブだけは出口付近で君たちにハサミを振ったりして威嚇を続けている。

ル・マン:なんとか、助かったかな。ランプに火をともして奥へ行くか?

チョイス:マスター、出口付近には女王ジャイアントクラブしかいないんだよな。

ル・マン:えっ?

GM  :確かに、そうだけど?

チョイス:じゃあ、他のジャイアントクラブの邪魔はないわけだ。決着をつけてやるぜ。

ル・マン:ええっ! もう、戦う必要ないんじゃないか?

チョイス:そういうことじゃなんだよ!

マリー :そういうことじゃないのよ!

ル・マン:マリーまで!

マリー :よくも調子に乗って、わたしやジュリアにまで手を出してくれたわね・・・。

チョイス:そうだ、うちの若い娘に手を出したらどうなるか、教えてやらないとですね、姉御!

GM  :(盛り上がってるなぁ(笑)) ジュリアも、痛みをこらえながら立ち上がり、最後の回復呪文をチョイスにかける・・・6回復。「頼んだのだ、チョイス!」

チョイス:おう。姉御、けじめとってきやす。マスター、女王ジャイアントクラブに両手剣で攻撃!

マリー :わたしは、最後のマジックアローを打ち込みます。

ル・マン:(え、まじかー)仕方ないなー(苦笑) じゃあ、僕も攻撃に参加します・・・。

GM  :了解、では女王ジャイアントクラブとのバトルだね。ちなみに、出口付近は若干狭くなっているので、ルキウスは接近戦に参加できません。また、ショートボウですが、接近戦をしているところに打ち込むと、味方に当たる可能性の方が大きいから、それもできません、悪しからず。では、先制権チェック、女王ジャイアントクラブは、2!

チョイス:俺は1-2で-1?

ル・マン:僕は2+1で3。

マリー :わたしは5+1で6! わたしからね。マジックアロー!! 命中判定は12+1で13!

GM  :マリーの杖からマジックアローが飛び出し、女王ジャイアントクラブの腹に命中した! ダメージ判定をどうぞ。なお、マジックアローについては、魔法なので、微妙にコントロールして接近戦にも打込めるということで、念のため。

マリー :(正直、味方に当たるリスクは考えてなかったわ)ダメージは。。。2+1で3!

GM  :女王ジャイアントクラブにマジックアローが命中した部分が黒々と焦げ付く。女王ジャイアントクラブは、ますます興奮して泡を吹いているね。逃げる兆しは全くないです。

チョイス:逃がすかよ。

ル・マン:僕の番、16-1で15! 命中だよね!

GM  :うん、剣を打ち込んだル・マンの腕にだいぶん反動が来るけど、何とかダメージは通った! ダメージ判定をどうぞ。

ル・マン:え、これでぎりぎりなのか、さすが、硬いな! ダメージが4-1で3!

GM  :ル・マンの与えた傷から、何か液体のようなものが染み出ています。マリーとル・マンで女王ジャイアントクラブにかなり深刻なダメージを与えている様子です。女王ジャイアントクラブの反撃ですが、まず、6面ダイス一個振って、1と6なら泡攻撃ということで。。。3、通常攻撃、奇数ならチョイス、偶数ならル・マンに攻撃で。。。3なので、チョイスに攻撃です。。。4。だいぶ攻撃が効いているのか、はずれ。

チョイス:よーし、とどめは俺だ! 。。。13+2で15、よっしゃー! ダメージが3+1+2の6!!

GM  :チョイスが降り下ろした両手剣は女王ジャイアントクラブの胴体を深々と切り裂きました。女王ジャイアントクラブは口から泡を吹きながら、ドウッと後ろ向きに倒れました。

マリー :やった!! チョイス!

チョイス:ウシャッ、見さらせ!!

ル・マン:ふううう・・・、なんとか・・・・。

GM  :やったね! みんなは女王ジャイアントクラブを倒しました!!(Tips32)

 大きな山場を越えたパーティーは態勢を整えてから、洞窟の奥へ進むことにする。もっとも、ほとんどの魔法は使い切ってしまっているので、ランプに火をともし隊列を整えるのが精いっぱいだ。ジュリアに回復をしてもらったチョイスを除いては、全員が傷を負ったままであり、まさに薄氷を踏むような勝利だった。

ル・マン:マスター、あの女王ジャイアントクラブはどうなるのかな。

GM  :おそらくは、他のジャイアントクラブに食べられて、最後に残った殻は穴から下に捨てられるんだろうね。

マリー :いい気味だわ!

ル・マン:そうすると、増々、前に進むしかないな。もうこれ以上敵が出ませんように。

チョイス:ルキウスはかなりへばっているんだろう? 先頭は俺一人で十分だから、ル・マンと後衛を頼む。

GM  :「ありがとうございます」とルキウスは素直に後ろに下がる。もうカラ元気も出なさそうだね。では、みんなが洞窟を進むとすぐに、前方が大きな岩石で塞がれているのに気づきます。

チョイス:ま、じ、で?

ル・マン:行き止まり? マスター? よく調べてみてよ、チョイス。

GM  :先頭のチョイスが明かりを持って近づくと、洞窟を塞いでいる岩石の傍らに、魚の頭に人間の体という奇妙ないでたちの石像が、両手に剣を二振りもってたたずんでいるのに気が付くよ。そして、その像はゆっくりと動き出す・・・。

ル・マン:ふううう。(ためいき) 門番、なんだろうな。

マリー :そうね、それで、この洞窟に入ってきたジャイアントクラブはこの門番にやられちゃうんだ。だから、こっちの出口は使わないんだね。

チョイス:やる、しかないのか。

GM  :君たちが戦闘態勢を取ろうとしたその時、ジュリアがすっと前に出て、「大丈夫なのだ。神域を守る衛視なのだ。」と言います。確かに、ジュリアが石像に近づくと、石像は元の位置にゆっくりと戻っていきます。

ル・マン:助かったー。もう、限界だからね。

チョイス:そうか、俺はまだやれるぜ。

マリー :戦士はいいかもしれないけど、魔法が切れた魔法使いなんて、どうすればいいのよ?

チョイス:それは確かに。で、もうこれは、安全ってことでいいのかな、マスター?

GM  :そうですね、ジュリアによると、この石像と同じものが神域にも設置されているそうで、神官家のものと同行者には手出ししないようになっているそうです。そして、ジュリアが石像に触れると、洞窟の奥を塞いでいた岩石が、その大きさにかかわらず音を立てずにすぅっと横滑りして・・・・新たな通路が現われます。おめでとうございます! ジャイアントクラブの洞窟を突破して、神域と祠をつなぐ通路に辿り着きました!!

一同  :やったー!! なんとか、クリアだ!!

■エピローグとレベルアップ

 神域と祠をつなぐ通路に入った一行。パーティは通路で待機することとし、ジュリアとルキウスは神域の状態を確認し、ひどく硬い表情で戻ってくる。帰り道は、ジャイアントクラブの洞窟を避けて、祠からロープを使って降りることにする。そして、再び、シクレタの街へ・・・。

GM  :いやー、一時はどうなるかと思ったけど、無事に目標を達成して街へ帰ってきました。協議会のサーティースさんにミッション達成の報告をしたところ、1人当たり30GPの報酬をくれました。無事達成できたのが意外だったのか、ちょっと片眉が上がってたけどね。

チョイス:なんだよ、簡単な仕事だと思って、新米に振ってたんじゃないのかよ。

マリー :まぁ、無事に達成してやったんだから、良いじゃない。マスター、ジュリアの調査の方はどうなったのかしら。

GM  :うん、そうだね、調査自体は君たちの護衛のおかげもあって無事成功なんだけど、調査で分かったことはあまり喜ばしいことではないみたい。島からの帰り道は、ジュリアとルキウスはすごく沈んだ感じで口数も少なく、街についたらすぐに協議会に報告に行ってしまったよ。もちろん、君たちには、すごく感謝してからだけどね。特に、マリーには、ぎゅっと抱きついて「ありがとうなのだ」と感謝してました。(Tips33)

マリー :心配だなぁ。何かあるんなら力になってあげたいね。

ル・マン:もしかしたら、また依頼があるかもしれないよ。

GM  :そうだね。さて、そのためというわけではない訳ではないけど、シナリオ達成で、君たちは経験値を手に入れました! TRPGはコンピューターゲームと違って、モンスターとの戦闘の都度、経験値が入るんじゃなくて、こういうシナリオ達成のタイミングで経験値が入ることが多いんだよ。で、今回の冒険で君たちは経験値4000を手にしました!

チョイス:やった、4000だと・・・おお、レベルが上がった!

マリー :わぁ嬉しい! 使える魔法の数が増えるのが、魔法使いにはほんと嬉しいわ。

ル・マン:回復できる回数も増えるしね、助かるよ、ほんと。

GM  :では、キャラクターシートに獲得した経験値を書いて、レベルを2にしてください。それと、レベルアップに伴いHPも増加するので、ダイスを振ってください。上昇の度合いは各職業によって違います。

チョイス:。。。。OK! マックスの4上昇だ。

ル・マン:。。。。僕は平均的な2上昇。

マリー :なんだか嫌な流れね。。。。あ、でも最大の2上昇。魔法使いはあまりHPは増えないのね。でも、魔法のコスト上限が2増えるのはうれしいなぁ。新しい魔法も使えるようになるみたいだし、ふふふ。

チョイス:あ、姉御、なんだか怖いっす。

GM  :何回かに分かれちゃったけど、これで初めてのシナリオは終了です。どうだったTRPGは?

チョイス:いや、おもしろかったぜ。戦闘もダイスを振るだけであんなに盛り上がるとは思わなかったよ。

ル・マン:そうだね。いろいろ頭使って考える場面もあったし、これが自由度なんだなって思った。それに、キャラクター同士とかジュリアとかとの会話も、面白かったよ。

マリー :ジュリア可愛かったわー。なんだか、恥ずかしいセリフがたくさん飛び交ってたような気がするけど、ゲームの世界に入っちゃうわね、びっくりするくらい自然と。

チョイス:これ、横で聞いてたら、聞いてる方がすごく恥ずかしくなるのかも知れんな。

GM  :いやいや、それぐらいゲームを楽しんでくれたら、僕としても嬉しい限りです。いくつものシナリオがつながったものをキャンペーンって言うんだけど、せっかくレベルも上がったことだし、また、続きをやらない?(Tips34)

チョイス:おうっ、是非やろうぜ。HPもMAX上がったし、増々派手に戦えそうだぜ。

ル・マン:じゃぁ、GM、またシナリオ考えてね(笑)

マリー :また、ジュリアが出てくるといいなぁ(笑)

GM  :了解! では、またやりましょう!! (みんな、ルキウスを忘れてない?(*_*;)

<了>

⇦「1-5 光差す洞窟。すべてのジャイアントクラブの母と対峙!」