■光差す洞窟。全てのジャイアントクラブの母と対峙!
GM :ジャイアントバットの大広間まで戻ってきました。今の位置からすると、右手に奥へ通じる出口が、左手に外へ通じる出口があり、正面には大きな水たまりが広がっていますね。
チョイス:奥へ行くしかないだろう。
ル・マン:そうだよなぁ。でも、みんな結構ぎりぎりだよね。あと1回のバトルが限界っぽいよ。
マリー :できるだけ、慎重に進むしかないわね。
GM :ジュリアもマリーの横でコクコクとうなずいています。ジュリアの回復呪文もあと1回しか残っていないけど、また、出直して態勢を整える考えはなさそうです。
チョイス:まぁ、なんとかなるさ。行ってみてヤバかったら撤退でもいいしな。
ル・マン:確かに考えていても仕方ないな。マスター、今は奥の出口の方にはジャイアントクラブはいないんだよね。
GM :うん、それに、ジャイアントバットもまだ戻ってきてない。この大きな空間には、君たちの他には何もいないようだね。
マリー :じゃあ、奥に進みましょう!
ル・マン:いつもの2列隊形で、水辺に注意しながら進みます。どうも、気になるんだよね、この水が。
GM :了解、君たちは水辺に注意しながら、奥の出口へ向かいます。奥の出口から続く洞窟はさっきまでの洞窟と違って、二列で進んでも大丈夫のようです。洞窟だからある程度変化があるけど、全体としてはまっすぐで、若干登っているような感じがします。しばらく慎重にあたりをうかがいながら進むと、前方がうっすらと明るくなっています。どうやら、岩場の隙間から外の光が入ってきているようですね。
ル・マン:ランプはまだ要るのかな。
GM :あった方がいいね。光が入ってきているとはいえ、かなり暗い夕暮れのような状態ではあるから。さて、この道も大きな空間につながって終わります。大きな空間の上部の岩に隙間があるようで、いくつかの光の筋が空間に差し込んでいます。ある程度、空間の状態は見て取ることができるよ。
マリー :先頭のチョイスとルキウス、中を覗いてみて。
チョイス:あいよ。マスター、部屋の中はどういう感じになってる?
GM :(ノートの陰で6面ダイスを3個転がす。。。。10) ここも、ジャイアントバットの大広間ほどではないけど、かなり大きな部屋ですね。さっき説明した通り、ごつごつした岩の天井から明かりが数本差し込んでいて、その明かりを頼りに見回すと、正面に一つ、左側に二つ出入り口があります。右側の地面には大きな穴が開いていているけど、穴の底がどのようになっているのかは、チョイス達のところからはうかがうことはできません。(説明をしながらマップに図を付け足していく)
ル・マン:(マップを見ながら)なるほど、さっきのスケルトンのところと、この右側の穴がつながっているんだよ。
マリー :確かに、スケルトンの部屋の天井の一部がちょっと明るいって言ってたものね。ここの明かりが入ってたのね。
チョイス:いやいや、それよりもさ、ジャイアントクラブのゴミ捨て場がこの右側の穴だということは・・・。
GM :チョイス御明察! 部屋の中にはジャイアントクラブがうろうろしていて、確認出来るだけで5、6匹います。さらに、これまで見てきたジャイアントクラブより明らかに二回り位大きい、体高が人のあごぐらいまであるジャイアントクラブが1匹いるのも確認できます。
チョイス:うわ、女王ジャイアントクラブか? こいつがボスキャラか!
ル・マン:マスター、その大きなジャイアントクラブについて、僕たちが知っていることってある?
GM :うん、ジャイアントクラブ自体は冒険者たちによく知られている存在で、この大きなものについての知識も君たちは持っているよ。チョイスが言うように、ジャイアントクラブの巣に確認されることが多いので、「女王ジャイアントクラブ」とか「MOAGC(モーグ)」とか呼ばれたりしています。
マリー :モーグ?
GM :うん、「Mother Of All Giant Crab」での略称で「MOAGC(モーグ)」
マリー :(よくわからないけど)ふーん? それで、強いの?(Tips28)
GM :もちろん、大きいからね。実際のところ詳しいことはわかってないけど、駆け出しの冒険者の強敵であることは間違いない。通常のジャイアントクラブより、強力で固くて、しかも、興奮したときに飛ばす泡が目に入ると、失明の恐れがあるとされています。
チョイス:うわ、闘りたくねぇ・・・。
ル・マン:なんだ、弱気だな、チョイス。
チョイス:ああ、人間相手だと燃えるんだけどな・・・。でも、ボスキャラか、やってやるか!
ル・マン:まぁ、待て。マスター、まだ、ジャイアントクラブはこちらに気が付いてはいないんだよね。
GM :そうだね、君たちに気付いた様子はないよ。
ル・マン:じゃあ、慎重にいこう。マリーと僕も交代で部屋を覗くから、他に気が付いたことがあれば教えて。
GM :(見る人を変えるとはいい視点だな。じゃあ、知力チェックしてOKならヒントをあげようかな。マリーが。。。。11でOK、ル・マンは。。。。ありゃ、14で失敗か) 了解、それぞれが交代で部屋の様子をうかがうと、マリーがあることに気付きました。(Tips29)
マリー :え、わたし? なんだろう?
GM :マリーが気付いたのは、ジャイアントクラブの動き方の法則性です。女王ジャイアントクラブはこの部屋から出ていくことはない。他のジャイアントクラブは部屋から出入りしている。ただ、左側のふたつの出口は使うんだけど、奥の出口には近づかないようだね。
マリー :うーん、なるほど・・・。
ル・マン:マスター、ジュリアに確認するけど、岩壁にあった祠から神域へとつながっている洞窟は、ここを通ってないんだよね。
GM :「こんなところを通ったことはないのだ」というのがジュリアの答えだね。相談を始める君たちのことを、真剣な面持ちで見つめているよ。
マリー :もう一つ確認ね、ジュリア。祠から神域へ行く途中でジャイアントクラブを見かけたことはないわね。
GM :「見たことないのだ。この島にこんなのがいることも知らなかったのだ」ということです。
チョイス:というと、どうなるんだ?
ル・マン:つまり、この部屋にいくつか出入り口があるけど、祠と神域を結ぶ洞窟がこの部屋を通り抜けていることはない。
マリー :それに、その洞窟でジャイアントクラブを見かけたことがないっていうことは、左側の二つの出口のどちらかが、その洞窟につながっていることもなさそうね。
ル・マン:そうだね。だから考えられるのは、奥の出口から続く道が、その先で祠と神域を結ぶ洞窟につながっているのだろうということ。あと、奥の出口にジャイアントクラブが近づかないのは、通路に魔物が入り込まないように、何らかの防御策があるのかも、だね。
マリー :そう、そうでないと、そちらにもジャイアントクラブが出入りしてもよさそうだもんね。
チョイス:なるほど、そこまではわかった。でも結局は、あの、女王ジャイアントクラブを倒さないといけないんだろう?
ル・マン:いや、そうなると、必ず倒さないといけないわけじゃないよ。とにかく、何とかして女王ジャイアントクラブやほかのジャイアントクラブをやり過ごして、奥の出口に駆け込んでしまえば、あとは奴らは追ってこないかもしれない。とにかく、まともにやりあえば、最悪の事態もありうるし、ひょっとしたら奥の出口の先にも敵がいるのかもしれないし、戦わないで済むのなら、それに越したことはないよ。
チョイス:それはそうかもしれないが、この先にこいつら以上の敵はいないんじゃないか。だって、別のモンスターがいたとしても、ジャイアントクラブが邪魔をして洞窟の外に出てこれないだろう。ジャイアントバットのように飛べるならともかく。
マリー :あ、それはそうね! チョイス、確かにそうだわ。そうすると、ここが最後の山場かもね!
ル・マン:それにしても、戦わないで済めばそれが一番だよ。戦うにしてもできるだけ敵の数を減らしたい・・・・。
マリー :そうね、そう・・・・。(考え込む)
GM :(みんな色々考えているなぁ。スケルトン戦が結構ぎりぎりだったからかな)
■最後の山場。マリーの思いついた奇策とは。
マリー :(しばらくして)あの、ね、ちょっと思いついたんだけど、こういうのはどうかな。
ル・マン:え、どういうの?
マリー :ジャイアントクラブは、洞窟に入る前に戦った時の感じから、ダメージを与えると逃げ出すことが多いよね。
チョイス:たしかにそうだ。ほとんど、倒す前に逃げて行ったな。
マリー :それでね、まず、この天井なんだけど、鍾乳石のツララや岩でできてるでしょ。それに、光が差し込んでいるってことは、かなり薄い部分もあると思う。
ル・マン:うん、そうだね、それで?
マリー :それをジャイアントクラブの上に落とすの。
チョイス、ル・マン:えっ?
マリー :だからね、天井に向けてマジックアローを打ち込んで、岩石やツララを落とすの。それも、前もって、攻撃力増強の魔法を天井にかけておいて。
ル・マン:そうすると、攻撃力が増強された岩石や鍾乳石のツララがジャイアントクラブの上に落ちてきて、ダメージを受けたりびっくりしたジャイアントクラブが逃げ出す・・・。あいつらは奥の出口の方には行かないから、奴らが混乱している間に僕たちはなんとかして奥の出口へ辿り着くって作戦か。
チョイス:さすが、姉御、すごいこと考えるなぁ(笑)
マリー :もう、茶化さないで。わかってるでしょ、最初のジャイアントクラブでも苦労したんだから、あの大きい女王ジャイアントクラブとまともに戦ったら、どう転ぶかわからないよ。どうかしら、マスター、可能かしら。
GM :(ほんと、すごいこと考えるな。でも、こういうアイデアはできるだけ生かしてやりたいな) ゆっくりと観察すると、たしかに部屋の天井の光が差しこんでくる部分は岩壁が薄くなっていて、マジックアローをうまく打ち込めば、岩石やそこにぶら下がっている鍾乳石のツララが落ちてくるかもしれない。ただ、残念だけど、マリーたちがいるところからは距離がありすぎて、攻撃力強化の呪文は届かないよ。
ル・マン:そうか。攻撃力を増やせないなら、なんとか、落ちてくる量を増やせないかな・・・・・。
GM :君たちが真剣な面持ちで相談していると、おずおずとルキウスが声を掛けます。「あ、あの、すみません、実は私、弓矢を持っているのですが、お役に立てますでしょうか?」
チョイス:え、そんなの、持ってたっけ?
GM :今まで接近戦ばっかりだったから、出す機会がなかったけどね。実は、ルキウスは折り畳み式のショートボウをバックパックの中に入れていたのさ。(マリーのアイデアを生かすために、今、ルキウスの設定に付け加えた。(Tips30)
ル・マン:じゃあ、攻撃強化の魔法はルキウスのショートボウにかけて、マリーのマッジクアローと同時に打ち込めば、かなり期待できるんじゃないか?
マリー :え、どうかな、どう、いけそうかな、マスター?
GM :うん、あながち荒唐無稽な作戦ではなさそうだよ。弓矢が全然変なところに飛んで行ったら別だけどね。(笑)
ル・マン:よし、じゃあ、その作戦で行こうよ。まず、マリーはルキウスのショートボウに攻撃力強化の魔法をかける。それで、次のターンに、ルキウスの矢とマリーのマジックアローで、天井の脆そうなところを集中攻撃。うまくいけば、岩石やら鍾乳石やらがたくさん落ちてきて、ジャイアントクラブが混乱したり逃げ出したりするだろうから、そこをみんなでジュリアを守りながら反対の出口まで突っ切る!
チョイス:途中で襲われるようなことがあれば、おれが壁になってやるよ。
GM :ジュリアがチョイスに話しかけるよ。「あと1回防御力強化の呪文が使えるのだ。走り出す前にチョイスに呪文をかけよう。」
チョイス:いやいや。(顔の前で指を左右に振る) そんな、俺にカッコ悪いことさせないでくれよ、なあ、みんな。
ル・マン:ああ、そうだな。
マリー :そうね、いい、ジュリア、その呪文は貴方自身に使いなさい。
GM :「え、でも、わたしはみんなに守られてばかりで、その上自分に最後の防御力強化の呪文を使うなんて・・・」と戸惑いを見せるジュリアですが。
チョイス:俺たちは駆け出しとはいえ、プロの冒険者だからな。「ジュリアの護衛」という依頼を受けたからには、それが最優先なんだよ。
ル・マン:それに、ジャイアントクラブの動きがどうなるか想像できないし、最悪、ジュリアにまで攻撃が及ぶかもしれない。
マリー :「だからね、ジュリアも迷わないで。自分の神官としての使命を果すために、全力を傾けなさい。」と諭します。
GM :「は、はい、わかりました・・・」とジュリア。少し涙ぐんでます。ルキウスは後ろですでに泣いています。号泣です。(笑) 「お嬢様のためにありがとうございます! 今回の調査が終わったら、みんなで酒場でゆっくりとごはん食べましょう!!」だって。
一同 微妙な空気
GM :あ、あれ、なんか変なこと言ったかな?
チョイス:まぁ、ちょっとルキウスにフラグが立ってしまったかもしれんが、頑張ろうぜ(笑) やるだけのことはやって、あとは出たとこ勝負だ!
マリー :そうね。出たとこ勝負のところは、よろしくね、チョイス。マスター、できるだけジャイアントクラブがいないタイミングで、できるだけ効果がありそうな天井を狙いたいんだけどいいかしら。
GM :いいよ。君たちはしばらく部屋の様子をうかがっています。そして、ジャイアントクラブの数が比較的多いタイミングが来ました!